「パクレ警部の事件簿」事件に思うこと

来てくださってありがとうございます。

2019年1月15日に配信が始まった『アストルティアキャラクターズファイル「パクレ警部の事件簿」』は、みなさんご存知の通り、全三話配信後プレイヤーの中で賛否両論渦巻いて、冒険者の広場もその他のネット上でも大荒れの様相を呈しました。
その渦中に、プロデューサーの青山さんからツイッター上ではありましたが、以下のようなお話があり、その後の動向を私も見守っていました。

今回、冒険者の広場に正式にディレクターからのお知らせが出ましたので、このタイミングで今回の事件について私が思っていることを書いてみたいと思います。

「パクレ警部の事件簿」についての私の感想

私は元々SFやファンタジー好きなので、「時空警察」とか「ミストデバイス」などという夢いっぱいなガジェットは大歓迎なのです。
有名な小説やアニメのパロディものもオマージュとして捉えれば決して嫌いではないです。

でも…
残念なことに、「パクレ警部の事件簿」は肝心なストーリーがあまり面白いとは思えませんでした。
思わせぶりな伏線らしきものがたくさん出てきたのに、結果的にそれがすべて未回収のままというのも消化不良でもやもやしました。

というわけで、今回のストーリーは単純にスピンオフ的な物語として虚構の「こんな設定だったら面白いかもね」というパロディを楽しむものなのか、それとも今後のメインストーリーに大きく絡んでくる設定(つまりVer1からその設定)だったのかが不明だったので、個人的には評価が難しいなぁと感じていました。
プレイヤーの混乱や怒りもそのへんがはっきりしなかったが故に起こったもののような気がします。

ところで、安西Dの言うところの「パクレ警部の夢想がプレイヤーに干渉した虚構の世界」ってどういうことなのでしょう。

これってパクレ警部が「自分がこんなかっこいい存在ならいいなぁ」と夢想していた、その内容をパクレ目線ではなくプレイヤー目線で物語として作りましたよってことですかね?
それともパクレ警部の妄想の思念が強すぎて、アストルティアのリアル(言い方難しい!)のほうにまで干渉しちゃったよというぶっとんだ設定の物語を、あくまでメインストーリーとは無関係につくりましたよってこと?
だとしたらそれほどまでに思念が強力になってしまった原因を描かなければ説得力ないし、どちらにしても「虚構」の中で更なる「虚構」を描くのは、線引きをきちんとしないととても難しいと思います。

そう、アストルティアの世界は元々「ファンタジー」なのです。
そのファンタジーの世界にもうひとつ「虚構」を築くというのは、私たちのリアルを基にした「不思議な世界」を描く以上の難しさがあるのです。
何故って、たとえば小説の中で私たちの現実世界にいきなり「時空警察」が現れたとしても、それは「虚構」だとすぐわかりますが、もともとアストルティア自体が「虚構」であり、その中では既にプレイヤーは時空を超えたりもしているのに、そこに新たな「時空を超える存在」を「虚構」として出されたら、そりゃあ混乱しますよ。

正直「パクレ警部の夢想がプレイヤーに干渉した虚構の世界」が何を指すのか、私には現時点ではよくわかりません。
いずれにしろ、このへんを最終話でもう少しわかりやすく表現してくれていれば、あるいはこんなにも荒れずにすんだのかなとは思います。

というわけで、この手の「ちょっと不思議なお話」はうまく作れば傑作になりますが、読み手を選ぶ非常に難しいものになると思いますので、全年齢が対象でありSF慣れしていない人たちもいることを思えば、やはり無謀だったかなと思います。また、時空を飛び回るドラクエ10のメインストーリーからしても、誤解を生みやすかったのかなとも思います。

でもそれ以上に私が問題だと思うのは、安西Dの言う「不思議な出来事のお話」という位置づけは、キャラクターを掘り下げることが目的のはずの「キャラクターズファイル」としては全くふさわしくない、という点ですね。

プレイヤーの反応について思うこと

私個人の考えとしては、「つまらなかった」「意味がわからなかった」「パクレ警部に思い入れがあったので残念なお話だった」というような感想を述べるのは全然問題ないと思います。
「これが本来のメイン設定だとしたら今後やる気が起きなくなった」と思うのもまったく自由だと思いますし、現時点ではそう感じても致し方なし、とも思います。
つまり、レストランで食べたものが「不味かった」「思っていた味と違っていた」「もうここでは食事したくない」との感想を、そのレストランのシェフや経営者に伝えるようなものですね。

けれども、だからと言って、既に作って提供されたものを「なかったことにしろ」や「作り直せ」はどうなのでしょう。
自分はこのサービスに対してお金を払っているのだから、提供されたものが思ったものと違ったら「作り直して当然」?
私は、ちょっとそれはどうなのかな?と思います。

安西Dもおっしゃっている通り、確かに今回のことは制作側の力量不足だし、失敗だったと思います。
でも、「つくらなかった」わけでもないし、きちんとサービスは提供されているわけです。
「つまらない」「腹が立った」という声をあげることは今後のサービスのためにも悪いことではありませんが、行き過ぎた要求は却ってこのサービスの寿命を縮めることになりかねないと思います。

運営側は、これから追加クエストを作ると発表しました。
でもそうなると、進行中のストーリーなどのコンテンツ制作のリソースが、そこにある程度割かれることになります。
「追加クエスト」ひとつぐらい、と思うかもしれませんが、人件費やその他もろもろ、相当のお金もかかると思います。
お金も人も有限なのです。ましてサービス開始から6年以上も経っているゲームです。割り当てられている人もお金もそうたくさんではないと想像できます。
そんな中で、今の時点で計画にないものをつくるというのは、私たちが思っている以上に大変なことでしょう。
制作スタッフの方たちのメンタルと体が私は本気で心配です。

お金を払っているのだから何を言ってもいい、という人は、そのサービスがなくなることになっても良いのだろうなぁ、きっと。

もう少し、ゆるい目線で物事を捉えることはできないものでしょうか。
これは世間一般にも言えることですが、今の日本は何もかもがサービスを過剰に求めすぎていると私は感じています。
たとえば宅配ひとつにしても「●●時に持ってきて当然」「1分でも遅れたらクレーム」…。
サービス業は今もほぼ人の手で賄われています。そこにいるのは自分たちと同じように感情を持って生活をしている「人」なのです。

人のやることですから失敗もあるだろうし、思っていたことと違う結果になってしまうこともあると思います。
だから謝罪をして反省をし、今後に生かそうとするのです。
なのに失敗は失敗と認めて謝罪している人を尚も叩く…
その心根を思うと私はゾッとします。
私自身が、とあるWebサービスの運営側の経験があるから、尚更そう思います。
サービス提供者は「人」として見られていないなとは常に感じていたことです。

あと少しずつ、誰もが物事をゆるく捉えられたら、この世界はもう少し生きやすくなるのではないかなぁ。

運営の対応について思うこと

「クエストの取り消し」や「作り直し」にならなくて本当に良かったです。
そういう前例は作らないほうが良いです。
一度前例を作ってしまうと、今後また何か問題があったときに「あの時こうだったのだから」ということになりかねません。

ユーザーの意見を取り入れることはとても大事ですが、同時に自分たちのつくるものに「誇り」も持っていていただきたいのです。
そういう意味では、今回の「追加クエスト」というのは落としどころとしては妥当なのでしょうね。
(大変な作業だろうし、出来によっては更なる混乱も招きそうで怖いですが…。)

ストーリーに関しては、小さな部分にもこだわりをもって世界観を大切にしてくださる制作スタッフの皆さんを、私はこれからも信じたいと思っています。
もちろん、こだわる部分はプレイヤー一人ひとり違っているだろうし、なかなか難しいんでしょうけども。
(藤澤初代Dの「神話篇」の王者装備「捨てていいですよ」発言が許せなかった私のような面倒なプレイヤーもいますし(笑))

まとめ

長々と語ってしまいました。
その割にうまくまとまりませんでしたが、ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます。
私は決して運営信者でもなんでもなく、ドラクエ10のコンテンツにも運営にも不満は色々持っています。

それでも、ここまでの運営叩きは見ていてとても辛かったのです。
それだけドラクエがみんなに愛されているという証拠でもあるとは思うのですが、あまりの暴言の数々にとても胸が痛みました。
運営に関わる方々、中でも今回のストーリーを制作した方々のメンタルが本当に心配です。

どうかこれからもドラクエ10の世界が長く続いていくように、プレイヤーも運営側も共に思いやりと愛情を持って前向きに歩いていけるようにと、ここで小さく祈っています。

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