覆水盆に返らず

来てくださってありがとうございます。

2018年もいよいよ今日で終わりですね。
皆さんにとって今年はどんな1年だったでしょうか。

私にとっては、言葉について色々考えさせられる年でした。

「相手の思考を楽観的に期待している状況……、これを、甘えている、というんだ。
いいかい、気持ちなんて伝わらない。伝えたいものは、言葉で言いなさい。それが、どんなに難しくても、それ以外に方法はない」
(『詩的私的ジャック Jack the Poetical Private』/森博嗣)

上記は私の大好きな作家である森博嗣さんの推理小説の一節なのですが、これ本当にその通りだと思います。

これぐらい言わなくてもわかるだろう、伝わるだろう

というのは、ある種の甘えであり奢りなのです。
相手との距離が近くなればなるほどそういう思考に陥りがちですが、どんなに親しい間柄であっても自分の気持ちは言葉にしなければ決して相手には伝わりません。
まして言葉がほとんどすべてとも言えるネットの世界では。

それともうひとつ

もの言わぬは腹ふくるるわざなり

という格言もあります。
これはどちらかと言えば「不平不満」のことだと思うのですが、
「言いたいことを心の中に溜め込んでいるとお腹がいっぱいになって苦しくなるよ」
というような意味かと思います。

小さな不満を少しずつ溜め込んでいつか爆発してしまうより、思ったことはやっぱり相手になるべく伝えるべきかなとは思います。

それでも。

「言霊」という言葉があるぐらいで、言葉にはとても強い力があります。
思ったことをただその場で脊髄反射的に垂れ流すのは良くないなと思うのです。
思ったことをよく考えることもせずにすぐ口にしてしまう、または逆に「思ってもいないこと」を怒りにまかせて反射的に言ってしまう、それは決して冒頭に書いたような「気持ちを正しく相手に伝えること」にはならないと思います。

これ、自分自身に言い聞かせてます。
私はよくこれで失敗していますので。

幸いなことに、口から出す言葉と違い、文字を打つという動作は途中で止めることができます。
エンターキーを押すまで発信することはありません。

それは本当に自分が伝えたかったことなのか

その言葉で本当にいいのか

エンターキーを押す前にもう一度よく考えてみようと思います。

“覆水盆に返らず”です。
起こってしまったことは元には戻らない。
言ってしまった言葉ももう「なかったこと」にはできない。

でもね。

“It’s no use crying over spilt milk.”(こぼしたミルクを嘆いても無駄)

同じような意味をもつ上のような英語の格言もあるんですが、これはポジティブに「こぼしちゃったらまた注げばいい」と捉える見方もあるんですよね。
「no use crying」だから、どちらかと言えば「無駄」というよりも「そんな必要ないよ」という意味合いのほうが強いように思われます。
世の中取り返しのつかないことはもちろんたくさんあるのですけど、そうじゃないこともまた、結構あるものじゃないかなと思います。

そんなふうに、真摯にそして今より少しポジティブに、来年はよりいっそう言葉を大事にできる年にしたいなと思います。

今年一年、このような拙いブログをご覧いただき、本当にありがとうございました。

来年もまた、ゆるゆると私なりに楽しみながら思うことを書いていければなと思います。

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