闇に堕ちたエル子(最終話-僕はきっと旅に出る)

それからの毎日は正直曖昧でぼやけています。


目がさめると心がぺちゃんこになっていることに気付いて、
なにもかもが虚しくなって
それでも無理矢理からだを起こして
ぺちゃんこの心に空気を送り込んで。

そうしているうちになんとか気持ちも持ち直してきて
夜に向かってだんだん元気になっていく。

夜になるともうなにもかもすっかり大丈夫な気持ちになって
このまま元気に生きていけそう!
なんて思うのだけど

一晩眠って次の朝を迎える頃には
また気持ちは小さく小さくしぼんでしまっている。

そんな日々を繰り返していました。

だから朝が来るのが怖くて怖くて。
少しばかり幸せな気持ちで眠って
そのまま二度と目がさめなければいいのにと
その頃は毎日思っていました。

ドラクエは、引退しようと思いました。
それどころか、キャラデリまで真剣に考えました。
「もう全部終わりでいいな」
そう思いながら、生まれ故郷のツスクルでぼんやりと月を眺めました。

そうしていると、アストルティアに降り立った日から今日までの様々なことが頭をよぎりました。

これからどんな冒険が始まるのだろうと、ただワクワクしていた旅立ちの日。
初めてのフレンド。
初めて強敵を倒せたときの喜び。
苦労して手に入れたアクセサリーや装備。

何より、ずっとずっと大切に育ててきた私の分身。
それをなかったことにしてしまうことは、どうしても私にはできませんでした。

そんなこんなでただ毎日をぼんやりと過ごしていた私でしたが、そんな私のことを心配して、たくさんのフレンドさんが私に声をかけてくれました。
私は、彼と出会ったその日から彼中心の生活になってしまい、大事なはずのフレンドさんたちをずっと蔑ろにしてきました。
それなのに。
こんなバカな私なんてもう見捨てられてもしょうがないのに。
それでもみんな、なにひとつ変わらず私のことを大切にしてくれ心配してくれていました。
それが心底ありがたくて、嬉し涙が止まりませんでした。

思い返せば、私にはそんなふうに支えてくれるたくさんの手があったのに、なかなかそれに気付けなくて、ひとりの腕にばかりしがみついていました。
私のことを大事なフレンドだよと言ってくれて心を砕いてくれたたくさんの人たちのことを蔑ろにしてしまっていた、バカな私。

本当に強い人は、決して一人ぼっちではない。
たくさんの人たちとしっかり関わって、みんなの手を少しずつ借りて、そうやってしっかり立っているんですね。
だから転んじゃっても、支えてくれる人達の手を借りて、また立ち上がれるんです。
そんなことに、どん底まで落ちてやっと気付けた独りよがりな私でした。

それでも、正直なところ、本当に立ち直れるまでには紆余曲折ありました。
月日が人を癒してくれるのは確かですが、やはりそれなりに時間はかかります。

ダークキングが実装されてしばらくして、攻略法をネットで色々調べている時に、偶然彼と例のエル子さんを含むPTの最強討伐動画を観てしまい、わかっていても落ち込んでしまったこともあります。
ツイッターでうっかりエル子さんのアカウントを発見してしまい、ついつぶやきを読んでしまったこともあります。
エル子さんは、いつの間にか私なんかとうに追い越していて、最強レグナードをパラで倒していたりダークキングの三人討伐やTAをしていたりと、すっかりガチ勢の仲間入りをしていて正直怖くなったり悔しく思ったり(笑)。
そんな時にはどうしても、あの時この子とフレンドにさえならなければ今頃これを書いていたのは私だったのかも、なんて考えても仕方のないことを思ってしまったりもしました。
もしそうだったとしても、遅かれ早かれいずれ今のような事態になっていたに決まっているのに、つくづく私という人間はバカなんだなと思います。

そして、ずっと後になって知ったことですが、彼は私とのフレンドを解除したことを、長い間苦しみ後悔し続けていたということでした。
外側から見れば不誠実に見えたり残酷に見えたりした言動もあったかもしれませんが、彼は彼なりに私を大切に思ってくれていたし、何とか私とフレンドとしてうまくやっていく未来を諦めきれなかったのだと思うのです。
そうでなければもっとあっさり私のことなど切ってしまっていただろうし、そんなに苦しまなかっただろうと思います。

今でも時々思い出す光景があります。
私がチームのことで悩んで一人氷の領界をあてもなくうろうろしていたとき、何を言ったわけでもないのにふと気が付くと彼が私を探しにきてくれていて、
何も聞かずに私を後ろに乗せて、長い間とこしえの氷原をただ黙って黒竜丸で走ってくれたこと。
キラキラ光る氷の世界にただ響く黒竜丸の音。

彼は、本当に繊細で優しい人でした。
それだけは、やっぱり誰に否定されても私は信じ続けたいと思うのです。

ともあれ、過ぎたことはすべて思い出という箱の中です。
「その時々の真実」という言葉がありますが、今はもう変わってしまったとしても、あの日あの時の気持ちは、決して嘘ではなかったのです。
どれもみんな大切で愛おしい私の思い出です。
思い出の箱には蓋をして、心の奥底にしまい込んで、私はこれからを生きていきたいと思います。

僕はきっと旅に出る 今はまだ難しいけど
初夏の虫のように 刹那の命はずませ
小さな雲のすき間に ひとつだけ星が光る
たぶんそれは叶うよ 願い続けてれば
(僕はきっと旅に出る/草野正宗)

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