闇に堕ちたエル子(第12話-猫になりたい)

2015年10月28日、それまでのコインボスとはまったく違う新しいコンテンツとして「常闇の聖戦」シリーズがリリースされ、その第一弾である「常闇の竜レグナード」が実装されました。
それをきっかけに、彼はようやくアストルティアに戻ってきました。

久々にログインした彼は、すぐに私に声をかけてくれ「二人乗りのドルボードを買ったから乗せてあげる」と言って、当時発売されたばかりの黒竜丸に私を乗せてオルフェアの草原をしばらく走ってくれました。
二人乗りのドルボードプリズムは、当時初めて実装されたもので物珍しさもありましたが、何より一番最初に私を乗せてくれたことがとても嬉しく、彼の背中を眺めながら私は何枚も何枚も写真を撮りました。
それまでの寂しい時間が嘘のように楽しくて、とても満たされた気持ちになりました。
相方になることはもうすっかり諦めていながらも、メインストーリーはずっと私とやってくれていたので「方向音痴の私のために買ってくれたのではないか」なんて、こっそり自分に都合よく考えてしまったり。
相変わらずバカな私でした。

そうして彼は、ログインしなくなった理由を少し明かしてくれました。
実は、その頃フレンドになった男性(当時、私と彼と3人で固定PTのようによく遊びました)がだんだん負担になっていったのだと。

その頃は、彼がログインすると、その男性フレは必ずすぐに彼の家に行っていました。
そして私を呼んで3人でしばらく雑談をし、いつも「彼」が何をするか決め、「彼」が誰かもう一人を探して誘い、コインボスなどに行くのが当たり前のようになっていました。
私もそうですが、その男性フレは彼にすべてお任せで、一緒に行くフレンドを自分から探すことはほぼなかったと思います。
時々ならいいのでしょうが、毎日毎日ログインすると誰かが家に来ている状態で(そのフレさん以外にも彼の家を拠点のようにしていたフレさんが数人いました)、しかも遊びのプランニングから人集めまですべて彼がやらなければ誰も何も動かない。
そのことがかなりのストレスになっていたようです。

彼からそう打ち明けられて思い返せば、彼が休止する少し前、気がつくと彼は自宅のルーラ石を他の人が使えないように隠していました。自宅にルーラ石を登録できないようにもしていました。
それに気付いた私は、その頃は自分から彼の家に行くことは遠慮するようになっていましたが、その男性フレさんはまったくおかまいなしに毎日彼の家を訪れていました。
それだけが原因ではなく仕事の忙しさや私生活の諸々もあったようですが、ドラクエをすることで余計に疲れる状態になり、次第にログインするのが億劫になったとのことでした。

そう言えば、ある時、何かのコンテンツに行こうという話になった際に何故かいつまでも動かない彼に「行かないの?」と声をかけたら
「なんでいつも俺から誘わなきゃなんないの?」
と少し不機嫌そうに言われたことを思い出しました。
あの頃は彼の近くにいたフレンドの多くが彼に頼り切っていて、そのことに誰も疑問を持っていなかったのです。
元々繊細な彼がそれを負担に思っていたことを、彼の相棒になりたいなんて言いながら、私はまったく気付けていなかったのです。
つくづく鈍感な私が嫌になります。

それはともかく。

その日から、戦闘民族である彼は予想通り「レグナード」にすっかり魅せられ夢中になっていきました。
最強レグナードを魔法使いで倒して称号を得た後は、パラディンでもどうしても勝ちたいと言い、私に「一緒に勝とう」と言ってくれました。
実装当初のレグナードの強さは半端ではなく、私にはまだまだ敷居の高い敵でしたが、私もそれに応えてどうしても彼と一緒に僧侶で勝ちたいと練習を重ねるようになりました。

本当に当時はレグナード一色の日々でした。
毎日彼と一緒に練習をし、ログアウト後はラインで作戦を考えたり僧侶の立ち位置や行動について教えてもらったり。
ふだん優しい彼が、厳しい言葉を私に投げかけることも少なくありませんでしたが、判断が遅く行動の鈍い私がうまく戦えるように色々工夫をしてくれたりと、今思い返してもへっぽこの私を連れて大変だったろうにと頭の下がる思いです。
件の男性フレも、「○○(彼)は○○ちゃん(私)だけには厳しい。よく耐えてるね。」なんて言っていましたが、それさえも「特別感」を感じて嬉しかった私でした。
他の人より「特別へたくそ」だっただけかもしれないのに(笑)。

そうして、2015年12月3日、実装から約1ヶ月と少し後に、ようやく彼がパラディン、私が僧侶で最強レグナードを倒すことができました。
苦労して苦労して何度も地の底まで落ち込んだ末の勝利だったので、本当に嬉しくて、その日は彼にお願いして私の家で2人きりで祝杯(?)をあげました。

それ以来、彼との仲は以前よりも一層深まっていき(どちらかと言えば戦友としてですが)、その年の瀬はとても心穏やかな日々を過ごすことができたのです。
つかの間の幸せな期間でした…。

猫になりたい 君の腕の中
寂しい夜が終わるまでここにいたいよ
猫になりたい 言葉ははかない
消えないようにキズつけてあげるよ
(猫になりたい/草野正宗)

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