闇に堕ちたエル子(第7話-冷たい頬)

夏が過ぎ、秋になっても2人の関係は変わらず、毎日楽しくアストルティアでの生活を過ごしていました。
ただ、お互いの距離が近くなるにつれ、次第に私はその人に我侭を言ってしまうことが増えていっていました。
「私がログアウトした後、他の人と遊んでほしくない」だの
「私と行く前に他の人と新しいコンテンツに行かないでほしい」だの
今思えば本当に一方的な相方気取りで、恥ずかしさで穴があったら入りたくなってしまいます・・・。

そんな私に彼は疲れてきていたのでしょう。
ある日とうとうこう言われてしまいました。
「相方は作るつもりはない。○○(私)ともそういう関係になったつもりはない」

私からの「好き」に決して応えてもらえない時点で、それは既にわかっていたことでした。
でもわかりたくなかったのです。
彼はとても照れ屋なので、言葉にしないだけなのだと思い込もうとしていたのです。
けれどとうとうはっきり言われてしまった。

「それでも私はあなたの”特別”になりたい。形なんてどうでもいいから。」
必死で私はそう言いました。
彼からの返事は
「もう既に十分”特別”だと思うけど。」
でした。

そして彼は、何故自分と私が似ていると思ったのかについて、自分の過去も含めて色々話してくれました。
プライベートに関することなので内容は書きませんが、彼自身もまた自己肯定感の低さに悩み、精神的な不安定さを常々抱えている人なのでした。
彼は傍から見れば「バトルが上手く、しかも面白くて親切で優しい」人。
バトルが苦手な相手でも、その人に合った方法を模索して(本人は気づいていないことが多かったですが)、なんとか勝利に繋げる工夫を常々していました。
私と組んでいる時でも、困っている人がいるとすぐに駆けつけてしまうような人でした。
(そこが私は不満だったりもしたのですが(笑))
でもそれは、生来の優しい性格もあったと思いますが、多分に自己肯定感が低いが故の「承認欲求」から来ていたものでした。誰かの役に立つことで他人から認めてもらいたかったのだと思います。
彼のことをよく知ると、実はとても繊細で脆く、難しい人だということに嫌でも気付きます。

だからきっと、自分によく似ている危うさを私に感じて、心配で目が離せなかったのでしょう。
恋愛というより「身内感覚」だったのだと思います。

ふと、昔いた職場で、同じように自分のことを私に似ていると話した男性がいたことを思い出しました。
そして「似ている」ことに気付いた瞬間、私のことは恋愛対象として見れなくなったと言っていたことも。

要するにそういうことなのです。
彼にとって私は恋愛対象ではなく「身内」。
とても悲しいけれど、それが現実です。

それでも、外面のいい彼が、時折私にだけは黒い感情を吐き出しました。
あくまで冗談ぽくですが、一緒に組んでいる相手(たいてい女性キャラ)の愚痴を聞かされたこともありました。
そのたびに私は一種の優越感というか「私は特別なのだ」という感情を抱きました。
誉められたことではないですよね。こう書きながら自分で自分に嫌悪します。

それはともかく、こんな風に彼からはっきりと「相方にはならない」宣言をされた私でしたが、それでも彼のことを諦めることは出来ず、いつか私のものになってくれることを夢見ていました。
ただ、それ以後彼が誰か他の女性キャラと遊んでいるところを見ても何も言うことはできなくなりました。
当然です。彼は私のものではなく誰と遊ぼうとまったく自由なのですから。

そしてここから私の闇堕ちが始まるわけです。
そう、あの頃、私は完全に一種のストーカーと化していたのです。

ふざけ過ぎて恋が幻でも構わないといつしか思っていた
壊れながら君を追いかけてく
近づいても遠くても知っていた
それが全てで何もないこと
時のシャワーの中で
(冷たい頬/草野正宗)

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