闇に堕ちたエル子(第2話-恋は夕暮れ)

2018年6月25日

その日の夜、私はログインしてすぐにフレンド欄を開きました。
もちろん、例の彼がログインしていればご挨拶しようと思ったのでした。

見るとその人はログインはしていたものの離席マークがついている状態でした。
ふだんの私であれば、離席中の人に話しかけることはまずありません。
でもその時は、何故だか気持ちが逸り、構わずこう話しかけてしまいました。

「離席中すみません。フレンド申請ありがとうございます。」

すると、離席マークがついていたにも関わらず、「こちらこそ」とすぐに返事が返ってきたのです。
(その時は「今ちょうど戻ったところ」と言っていましたが、その後、その人はPCに向かっていても別の事をしている時はいつも離席マークをつけていたと教えてくれました。)

そして少し話をした後、彼の方から
「せっかくだから一緒に何かしよう。何がしたい?」
と聞いてきました。

実は私は、この手の漠然とした質問がとても苦手です。
「何がしたい?」「何が食べたい?」「どこへ行きたい?」
そう聞かれても、いつも何も浮かばず困ってしまうのです。大体頭がぼーっとしてしまいます。
「何でもいいです」
という答えが一番困ると大抵は相手に言われるのですが、本当に何でもいいのです・・・。
むしろ相手に合わせるほうが私にとってはよっぽど楽だったりします。
たまに明確に「これ」という答えが頭に浮かぶこともありますが、「嫌がられるかも」とか「迷惑なんでは」などと考えてしまい結局何も言えない。
常に優柔不断で自己主張の出来ない、こんな性格を自分でも直したいと思っているのですが中々難しいです。

そんな私なので、いつもなら「特に何もないです・・・。逆に●●さんは何がしたいですか?」なんて聞き返すところなのですが、何故かその時は
「試練の門を一緒にやりたい!」
と即答してしまったのです。
自分で自分にびっくりです。

なんだろう・・・
この人になら自分を受け容れてもらえるかもしれない
直感的にそう感じたのかもしれません。
今となってはよくわかりませんが。

当時は「強戦士の書」がまだ実装されていなかったので、強ボスも試練の門も直接現地に行って戦闘をする必要がありました。
その日は確か真のアラハギーロの試練の門を一緒にやったのだったと思います。
現地に行く前に
「実は私はものすごい方向音痴なので迷惑をかけてしまったらすみません」
と先に謝っておきました。
実際、私の方向音痴ぶりはすさまじく、メギストリスの酒場で出口がわからなくなってしまったことさえあるのです・・・。
そして、その人に出会う前によく遊んでいたフレンドさんには、私のあまりの方向音痴ぶりに
「なんでそんなとこで迷うの?時間がもったいないしすごく迷惑。」
とまで言われていたのです。フィールドで置いてけぼりにされてしまったこともしょっちゅうでした。

ところが、その彼は「そんなの全然問題ない」と言い、フィールドの要所要所で立ち止まって私が追いつくのを待ってくれたのです。
もちろん、フィールドやダンジョンでは「ついていく」をさせてくれます。
また、その後、私が行き先をよく間違ってしまうことを知ってからは、ルーラで私がちゃんと正しい場所に飛んだことを確認してから自分も移動するようにしてくれていました。
まさに完全介護ですね・・・。

こんな風に、その彼は、万事において優しい人でした。
私はこれまでそんな風に優しくされた経験がなかったので、たぶん完全に舞い上がって色々勘違いしてしまったのです。

そして

その優しさの裏に何があるのかに気付かないまま、私はどんどんその人に依存するようになっていくのでした。

兎にも角にも、この時が私のアストルティアでの初めての「恋の始まり」だったのだと思います。

恋は迷わずに 飲む不幸の薬
恋はささやかな 悪魔への祈り

こだまする 君の囁きが
ただ朱く かたちなき夢を
染めていくような夕暮れ
(恋は夕暮れ/草野正宗)

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