【短編小説】ねこまどうの憂鬱(第3話)

2018年3月8日

あたしがお庭でウトウトしていると、どこからかふわふわとホイミスライムがやってきた。
「こんにちは。今日は出かけないの?」
「予定はあるみたいだけど…」
「ふぅん。いいお天気だしお散歩もいいもんだよ」
このホイミスライムは、向かいの家に住んでいる仲間モンスターだけれど、私がここに来てから誰かと一緒に出かけているところを一度も見たことがない。盟約を結んだ相手はどうしているのだろう。何故、この魔物はいつも一人きりなのだろう。

盟約…
そう、あたしたち魔物は、(見た目は色々だけど)人間という種族と、ごく稀に創世の女神ルティアナ神のもと、共に戦う仲間となる盟約を結ぶことがある。
盟約を結んだ魔物は、その相手である人間がこの世界にいる限り死ぬことがなくなる。
食事も必要がない。相棒の人間から少しずつエネルギーを分け与えられているから。

けれど相棒の人間がこの世界から消えたら…。

もしかすると、このホイミスライムの相棒ももうこの世界にはいないのかもしれない。

ということは
いずれはこのホイミスライムも…。

「ゆず、行くよ。」
あの人に呼ばれ、はっと我に返ったあたしは、慌てて出かける支度を始めた。
「じゃあ、気をつけてね。」
ホイミスライムは、またふわふわとどこかへ漂って行く。すこし、小さくなったように思うけど、気のせいかもしれない。

「今日行くところは少し遠いところだから、これに乗って行くよ。」
あの人があたしに見せてくれたのは大きくて黒い馬。
これは、本当は生きているわけじゃなくて、生き物そっくりの形をした乗り物なのだそうだ。
前にあの人が乗って操縦し、その後ろにあたしがこわごわ座る。
風を切って走るその乗り物のスピードにびっくりしながらも、あたしはさっきあの人に言われた言葉を胸の中で繰り返してみる。
「これは、ゆずと一緒に乗るために用意した乗り物なんだよ。」

ゆずと一緒に
ゆずのために

何度も何度も繰り返すうち、その言葉はあたしの心の一部に取り込まれ刻まれていく。
嬉しさで胸がいっぱいになる。

あたしは

この人と一緒に
この人のために

もっともっと強くならなくちゃ。

その思いだけで頑張ったことが…

あんな結果を招くことになってしまうだなんて…。

これもルティアナ様が仕組んだことなの?
誰かあたしに教えてほしい。

つづく。

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